2009年


2009年1月

明けましておめでとうございます

<画一社会から多様な社会へ>

 一昨年のサブプライムローンの破綻に端を発し、昨年のリーマンショック、GM等の危機と矢継ぎ早におこったアメリカ発の激震が、あっという間に世界を駆け抜け、昨年秋以降、日本でも今まで景気を牽引していた輸出関連企業が大きく業績を落とし、あらゆる業種で需要収縮が急激に起こりました。日本を含め世界の多くの国がアメリカのグローバリズムに同調した結果、金太郎飴的世界になってしまい、アメリカ一国の悪影響がそれらの国の隅々までいきわたる世界になってしまっています。この不況は長引くような気がします。

 1970年以降、不況の平均期間は約21ヶ月で、最長は37ヶ月ありました。一昨年の10月頃から、業況判断指数が下降線をたどっているのを考えると、昨年末で14ヶ月が過ぎたところです。平均的に終わるとすれば、あと半年我慢すればいいのですが、最長に並ぶと考えれば、景気の回復は来年の春以降になります。

 新年早々暗いことばかり書くな!とお叱りの声が聞こえてきそうです。事実は直視しなければなりませんが、余りにネガティブになってもいけません。ここ1年くらいの資金繰りに緊急に対処すると同時に、次の一手も考えて行動していかなければならないと考えます。緊急の対処療法は次に譲るとして、次の一手を打つために必要な考え方は?

昨年末、弊社の扱う金属を使って商品を作り、神戸のフリーマーケットに出展した時のことです。その時一緒に出展していた人の商品に注目が集まりました。その商品は割り箸です。何でこんなところで100円ショップでも買える割り箸なのと来場者に疑問をもたれました。それも市場価格より少し高い割り箸です。その時その割り箸を売っていた方が語りました。「この割り箸は吉野の間伐材を利用しているのです。間伐をしなければ吉野杉がだめになってしまいます。自然を守るためその廃材を利用してこれを作っています」と。他の商品をさしおいて、その割り箸が売れたのです。その理念に共感した人が買っていったのです。コストは安いに越したことはありません。納期は早い方がいい、品質は勿論高くなければならない。CQDで差がつかない時代、自社のサービス、製品にいかに自社の理念、思いを付加できるかが新しい付加価値を生み出します。高い商品には高いだけの理由があり、その理由に共感した方が買っていただける、金太郎飴的商品でない独自性、多様性にこそ、これからの中小企業の生きる道があるように思います。

2009年9月

100年に1度のchangeのchance

大手自動車、電機メーカーの4〜6月期の収支は大幅に改善された。それは政府のエコ減税の追い風もあるが、大半は経費削減、外注費の見直しが大きく寄与している。いわゆるリストラと下請け泣かせである。プラスになる視点はアジアを向き、国内ではマイナスを減らす、そうすると、国内消費はますます減少するであろう。

外需頼みからの脱却といわれて久しいが、相変わらずの輸出頼み。

政権も大きくchangeの風が吹いている。企業も大きくchangeするchance到来と考えるべきかも知れない。しかしマスコミ報道とはかけ離れて、我々中小企業にとってはまだまだ厳しい風が吹いている。それでも風を感じたら自らができる範囲の小さな一歩でも踏み出さなければならない。新しい事業を起こすもよし、それができなければ、今ある経営資源をまったく別の領域に活用できないか調べてみるだけでもいい。又、今までと違う考えを持った人と会話してみるだけでもいい。

ただし講演会100回聴きに行くなら、自分と違う考えを持った、ただし人間の生き様として共感できる人と、たとえ1時間でもいいから対話するほうがずっと役に立つ。なぜなら、講演会は一方通行でその場限りだが、マンツーマンの会話は双方向であり、その関係はもしかしたら一生続くかもしれないから。

陽明学者安岡正篤氏の百朝集の教えの中に「六中観」というものがある。

「死中活有、苦中楽有、忙中間有、壷中天有、意中人有、腹中書有」の六中である。

その中の「意中人有」は一説では心の中に師と仰げる人を持てという意味と言われるが又、心の中に腹を割って話せる真の友人を持つこと、という意味をも含む。そういう友人、師と語り合うことがこの大不況を乗り越えるひとつのヒントを与えてくれるのではないかと思う。

もし、そのような友人、師がいなければ一生の意中の人を求めるchanceと考え、そのために何をすればいいか、どんなところに出向けばいいか、誰と会えばいいかと考えて行動すればよいのである。ただ今回の大不況は大きな谷底を這わなければならないので、早く行動を起こさないとそれだけ回復が遅くなる。新しい取り組みの成果はすぐには現れないからこそ、早く行動しなければならないと思うのである。

2009年11月

<景気は底を打ったか>

最近の政府発表を聞いていると、景気は底を打ったと発表されています。しかし、雇用環境や、消費動向は依然悪化しているのが現実です。これから景気は回復していくのか。これを考える時、一昨年のサブプライムローン問題に端を発した景気後退が、一段落しようとしているのかと考えなければなりません。日本の住宅バブルが破綻した後、回復するのに10年かかりました。回復したというのは何をもってそう言うのかと考えてみると、それは供給と需要のバランスがとれ出した時ではないでしょうか。日本のバブル崩壊後も供給過剰による在庫住宅、マンションが多数残り、価格ダウンと、供給抑制により、ようやく在庫が適正水準まで戻り、必要な分だけ生産供給するという市場体制になった時、ようやく景気が回復しだしたといわれだしたのです。そうなるまで10年を要しました。

今回のサブプライムローン問題は、アメリカの住宅バブルの破綻であり、そこに流れていた資金が、原油などの天然資源に回り、翌2008年初頭から始まった原材料価格の高騰を招いたのです。多くの製造業は仕入れ価格の上昇に苦しみ、価格転嫁に奔走しました。その間、次の値上げを警戒して、多くの業者が余分に仕入れるという行動に出ました。そのおかげで、粗利率は低下しても、売上そのものは売値の上昇と、得意先からの多めの発注を受けることにより、数字的には上昇していきました。しかし、今思えばこの時すでに、在庫バブル、本当の需要量と供給量との乖離が起こっていたのではと考えます。そして、昨年秋のリーマンショック。一気にその在庫バブルがはじけたために、物の動きがストップしたのです。今年の8、9月ごろに在庫水準は適正化しつつあると発表されていました。そして、底打ち宣言。その後の動きを見ていると、確かに在庫補充的発注も出だしているように見受けられますが、企業を今まで通り維持するほどは出てきてないのが現状でしょう。そうなると、もう少し消費行動が上向くことはあるかもしれませんが、この状況プラスアルファーが一杯一杯かも知れません。そう考えて、従来型の仕事のやり方、受注の仕方でやっていけるのか、真剣に、それも早急に考え直さなければならない時であろうと考えます。

<モラトリアム>

亀井金融・郵政改革担当大臣がぶち上げた、中小企業救済のための「モラトリアム法案」。金融機関や、財務省から果ては同じ与党の民主党議員からも疑問の声が上がった「平成の徳政令(本人曰く)」。しかし、気が付けばいつの間にやらその疑問視する声も消えて、すんなり法案提出となりそうである。なぜそうなったのか。その法案の骨子を見てみれば納得である。

その条件変更(元金返済を先送り)可能対象企業は、政府系融資、保証協会付き融資を受けていない企業に限られているのである。そんな中小企業、全国に何社あると考えているのであろうか。結局は骨抜き法案になってしまった。期待して待っていては駄目である。