2011年


2011年1月

新年明けましておめでとうございます

<年頭に当たって>

 毎年15日、弊社は新年ミーテイングで一年の幕を開けます。弊社の決算月は7月末であるので、次期の経営計画の作成を7月初めの総括から始め、それを基礎として今後の情勢を考慮に入れて、方針・計画をその月の末までに各自の個人行動計画と共に決定していく。そして、約半年たった正月5日に上期の振り返りと、正月になると色々なマスコミその他から出てくる予測等を参考にしながら、修正を加える作業をするのが毎年恒例になっています。

予測を参考にするものの、誰が2009年、その前年末におこったリーマンショックの影響が約1年間続くことを予測し、2010年年初から前年よりか少し回復したものの、前半の価格上昇、終盤の市況低迷を予測しきったであろうか。

過去において業績が悪かった時は、情勢を読み切れなかったと言い、それなら、業績が少し良かった時は情勢を読んでそれに乗っかったと言えるだろうか。答えはnoである。

ちっぽけな個人が、いくら賢人たちの意見を参考にしようとも、全世界数十億の人間の行動パターンを予測し、人種、宗教、政治形態の違う多くの国々の経済状況を予測しきれるはずがなく、たとえ読めたとしても、それに乗る為に方針の舵を切っている間に世界は変化してしまう。

唯一わかるのは、過ぎてしまった過去が事実として理解できるに過ぎないのです。故に弊社では、計画を立てる場合、最も重視しているのは総括、すなわち反省です。できたこと、できなかったこと、それに時代が、業界がどう関与していたか、なぜできたのか、なぜできなかったのか、時代のせいではなく、自ら個人の問題として掘り下げて考え、そこから次の課題を発見し、次の一手を考える作業をおこないます。

お正月休みに毎年全員に宿題として、何か1冊本を読んで、読書感想発表をその新年ミーテイングの時にしてもらいます。

私は今年、塩野七生の「日本人へ、リーダー編」を読みました。その中に「プロとアマの違いについて」という一文に次のような一節があります。

「決断を下すのも孤独だが、反省も又、孤独な行為なのである。自分と向き合うのだから一人でしかやれない。プロとアマを分ける条件の一つである「絶対感覚」とは、それを磨くことと、反省を怠らないことの二つを常に行っていない限り、習得も継続もできない」

<今月の1冊>「日本人へ、リーダー編」塩野 七生著

「成功した場合は何によったのか、それは動機が自分の為、であった場合である。私益の追求から始まった行為であり、より端的にいえば私利私欲に基づいた行為である。なぜなら、何事でもそれを成し遂げるには、強い意志が必要になる。しかもその意志は持続しなければ効果を生まない。意志を持続させるに必要なエネルギーの中で、最も燃焼効率の高いのが私利私欲である。誰でも自分の為と思えば真剣度が違ってくる。これが人間の現実だが、だからと言って絶望することはない。私益でも公益に合致すればよいのだから。これが、『目的の為には有効ならば、手段は選ぶ必要はない』ルネサンス時代のマキャベリの思想であった。」


<鉄鋼業界の動向>

 昨年末、電炉大手の東京製鉄は、HOT(熱間圧延鋼板)コイルの出荷額を8,000円アップすると発表した。新日鉄も厚板に関しては5,000円上げを表明しており、年初からメーカー値上げの動きが活発化してきている。しかし、市況は昨年末からさらに冷え込む様相を見せだしていただけに、年明け以降、その市況がどうなるか流通各社は混迷したままでの幕開けになっている。


<最近の動き>

1. 1119日(金)、20日(土)生野区民ホールで開催された大阪商工会議所主催の「東成・生野ものづくりフェスタ」に出展しました。

2. 以前、会社訪問を受けた京都市立芸大の学生さんから、卒業製作の依頼を受けました。

3. 某スポーツメーカーの深堀りエッチング加工を施した別注プレートを製作。

4. 1月末、野田阪神新橋筋商店街の中にオープンしたお店2店に別注金物、その他を納入。
5. 12月5日オープンした地下鉄谷町線堺筋本町駅構内の障害者の方々の手作りグッズ販売のショップの内装金物一式を製作納入。


2011年3月

GDP(GrossDomestic Product)GNH(GrossNational Happiness)

 戦後、アメリカに追いつけ追い越せといばかりに頑張り、長らく保っていたGDP(国内総生産)第2位の地位が、とうとう中国に抜かれ世界第3位になりました。1位はアメリカでGDP145千万ドル(人口32千万人)、2位の中国は59千万ドル(人口135千万人)、3位日本で55千万ドル(人口12700万人)となりました。

しかし、一人当たりの生産高に直すと、アメリカは世界第8位、日本は17位、中国に至っては日本の10分の1ほどで、世界第99位まで後退します。1位はルクセンブルクで、2位ノルウェー、3位スイスの順であり、上位10位までに北欧の国が5カ国も入っています。「1位でなければだめですか?」とは、政府の誰かが言っていましたね。先進国の国民に「あなたは幸せですか?」とアンケートを取ると、少し前までスウェーデンが1位でしたが、最近はデンマークが1位になったそうです。日本は毎年その%が下がっていっています。外人からみると充分満ち足りているように見えるのに、国民の幸福感は低下し続けています。物の豊かさを追求し続けてきた戦後50年。物質的には満たされてきたのに、一方で目標を失い、人の幸福度が下がっていっています。今、世界の経済学者がGDP以外に、国民の幸福感を客観的数値化できないかと模索しています。その先進国であるチベットの小国、ブータンは早くからGDPではなくGNH(国民総幸福量)を目指しています。小さいところに学ぶべきものが沢山あります。

 『100年に1度の構造変化の時代』と言われ続け、こういう時はスピードが勝敗を分けると猫も杓子も言っていました。私自身もその通りだと思っていました。ITが急速に進歩し、瞬時に世界がつながる時代。誰よりも早く開発し、どこよりも早く市場に出すことが競争に勝つ絶対条件。確かにそうかもしれません。好調の大きな波が押し寄せている時は、確かにサーフボードのスピードを上げなければその波に乗れません。しかし今は、好調の大波が押し寄せている時代ではありません。振り返ってみると、江戸末期から明治初めにかけて、封建社会から近代国家という今よりもっと大きな国家的転換期においても、先進国に渡り、新しい見聞を広め、外から日本を見つめ直した多くの賢人たちが、次の時代を創っていったように思います。

世論が、一つの方向に大合唱を起こす時、へそ曲がり的にそれを懐疑してみることも必要です。皆が「スピード、スピード」という時代。スピードは、それに乗れない人を置いてきぼりにします。大転換期だからこそ、じっくりと腹を据えて進むべき道を考えてみる必要もあるでしょう。その時、中心になるものは、社員であり、家族であり、お客様であり、そして何より自分自身といった「人」でなければならないでしょう。

<今月の一冊>「分かち合いの経済学」神野 直彦著  岩波新書

「『危機の時代』とは古き時代が崩れ落ち、新しい時代が産声を上げる歴史の大転換期である。新しき時代とは、工業社会よりもより人間的な時代になっている必要がある。人間の欲求には『所有欲求』と『存在欲求』がある。人間は『所有欲求』を充足させると、豊かさを実感する。人間は『存在欲求』を充足すると幸福を実感する。人生を振り返れば、幸福は親との触れ合い、愛する者との触れ合いなど、人間と人間が触れ合い、『分かち合い』の内に実感していることが分かるはずである。工業社会とは『存在欲求』を犠牲にして、『所有欲求』を追求してきた時代である。ポスト工業社会とは、人間の人間的な欲求である『存在欲求』そのものを追求できる社会となる必要がある。」

「高次な欲求が芽生え、量から質への転換が始まる。量を質に転換するのは知恵であり、知識であることを忘れてはならない。それは人間の人間的使用方法が追求されることだと言ってもよい」

<鉄鋼業界の動向>

 鉄鉱石、石炭の大幅値上げにより、国内鉄鋼メーカーは相次いで大幅値上げを発表した。その上げ幅はトン当たり2万~2万5千円にも達する。原材料メーカーが寡占化された上に、昨年の豪州を襲った大雨による鉄鉱石等の供給不足も影響している。ステンレス鋼板もクロム等の相場上昇で同じように値上げ基調にある。行き場を失った投機マネーが、またぞろ資源や穀物といった原料に向かっているのも大きな要因の一つである。

国内需要の弱さは全く無視して。

<最近の動き>

1.黒アルマイト付アルミ操作パネルにレーザーで文字を入れました。

2.弊社の事務員の友人の方からの依頼で、その方がデザインしたプレゼント用表札を製作しました。

3.オ リジナルアイスピックへの名入れをしました。

4.デザインを得意とする会社、オリジナル特殊塗装を得意とする会社と連携して、新しいものを作っていこうと模索中。


5.1月から平野駅前クリニック前でも毎日曜日「八百屋マン・マーケット」を開催。

  現在、月13ヶ所に拡大しました。


2011年5月

<東日本大震災に思う 5K+1>

 信号が赤に変わった。車を止めたとたん、ガラス越しに風景がゆっくり揺れだした。いかん、めまいがしてきた。そう思った時、数百キロ離れた東北地方の太平洋の海底が大きく揺れていた。観測史上最大のM9の大震災、その直後に数メートルから数十メートルの大津波が東日本太平洋沿岸の村々を襲ってきた。3月11日金曜日午後2時46分、日本の歴史に刻まれた日となった。 

 その翌週から、社内の電話はならなくなり、受注が激減しました。しばらくすると少し回復してきましたが、日本中の経済活動に大きな影響を与えています。しばらく続くであろう未曽有の混迷の時をどう切り抜ければいいのでしょうか。

 資金はまず被害を受けた地域に、インフラを含めた復旧に集中的に投資されるでしょう。その後復興ですが、これは日本全土を視野に入れた新しい国づくりの復興でなければならないでしょう。今まで言われ続けていて出来なかった、外需に頼らず、内需主導型の景気循環システムを今度こそまず創り出さなければならないのです。まず国内循環経済を創り、それを基幹としてグローバルに発展させることが必要です。国内循環経済は地域内循環経済に細分化されます。その経済の中心は5K+(プラス)1だと考えます。5Kとは環境、介護(健康)、観光、教育、建築であり、そして今回大打撃を受けた東日本の大きな産業である1次産業の1を足した国内生産・国内消費型経済です。今回の東日本大震災で私達が知ったのは、思っていた以上に、グローバルサプライチェーンに組み込まれていた工場が多かった事でした。神戸の震災の後も、多くの優秀な部品供給会社が被災を受け、今回と同じように、しばらくはその供給先である大手企業が、製品を組み立てられないと言う状況が続いて大問題になりました。その時は約1年後には立ち直った企業も多くありましたが、すでに得意先は別の供給先を探し出していて、仕事が消えたと言うケースも多々発生しました。それから16年たった今では、情報のスピードは数段速くなっているので、代替供給先を探すのに以前ほど時間はかからないだろうと考えられます。自社が一,,三次下請けであろうと親会社、得意先がグローバルサプライチェーンの一環を担っている企業であれば、そこがいち早く復活し、その先の大企業から従来通り仕事が降りてくることをただ祈るしかないのです。しかし、ただ祈るだけでなく、自社が上記(K+1)の域内循環に少しでも関わっているか、もし関わっていなければどうすれば関われるか、社員と共に真剣に考えて、明日の為、未来の為に今やれることを速やかに実行しましょう。

<鉄鋼の動き>

 4月に入り、薄板3品の流通在庫が膨らみだしている。年初来の高炉製品の値上げ発表に、大震災による供給減が重なる不安から、3月に流通は在庫を膨らませたが、その後、大手ユーザーである自動車メーカーやその他国内主要メーカーの大幅な減産で、需要が大きく落ち込み、結果流通在庫が膨らんでしまった。しかし、厚板や一般鋼材はまず、インフラ復旧や公共工事が先行するため先高感が強い。復旧需要が本格化し、在庫が一巡してくると大幅な値上げは避けられない状況である。これは鉄鋼だけに限ったことではなく、あらゆる素材に関して言えるかもしれない。

<今月の1冊>横山好三著「大阪 都市形成の歴史」文理閣出版

 「歴史を紐解くと言うことは、過去との対話の中から、新しい時代の糸口を見出そうとするダイアログ(対話)である。」

「都市経済を支える産業政策については、これまでのような企業誘致、産業誘致では都市経済の未来を展望できないことを身を持って体験した。グローバル経済は拠点を定めない時代に入っている。都市の未来は自らが創り出さざるを得ない時代を迎えている。復活再生の原動力は、巨大企業ではなく、市民力である。大阪の大部分を占める中小企業、軽工業、流通業等を都市型産業に進化させていく産業政策こそ必要になっている。そのことが、大阪の雇用を守りながら、都市経済を循環させる都市のサスティナビリィティー(継続性)である。」

<最近のわが社の動き>

1、古建築作家さんとのコラボで、明治村にあるブラジル日本人移民住宅のジオラマをペーパークラフトで作成しました。5月末からそれを数点持ってブラジルに渡り、日本人住宅保存活動の一環として活用されます。

2、デザイナーさんの依頼でギターの弦を支えるサドルケースを製作。

3、大阪府中小企業家同友会の「緊急大震災対策経営勉強会」に参加

4、社内での話し合いの結果、東日本大震災にわずかながらの救援物資と義援金を、3月下旬に送らせて頂きました。


2011年7月

<強みを持つことが本当に正しいのか>

 福島第1原子力発電所がメルトダウンを起こし、その影響で、各地で原発再稼動反対の波が起こり、東京電力管内だけでなく、全国的に大規模節電の夏が来ようとしています。もし原発をすべて廃止したら、燃料代があがり、電気料金を値上げせざるを得ないとのこと。それがいやなら、原発を認めるか、毎年電気を大幅に節電するかと言われてます。そんなことになったら、大企業の海外移転が進み、国内の経済は益々悪化するだろう、との脅迫的な意見まで出ています。私達の生活には、多少の節電は出来ても、電気のない生活など想像することは出来ません。電力会社は、1エリアに1社しかなく、その会社しか国民に電気を安定的に供給することは出来ません。圧倒的な企業としての強みです。だから、値上げするときも政府の許可が要るのですが、国民は、言い換えればお客様はその企業と対峙する時、圧倒的に弱い立場です。

 自社の強みは何ですか、とよく聞かれます。価格決定権を持ち、納期融通性を持てる自社の強みを持たなければ生き残れないと、あちらこちらのセミナーで語られています。自社にとっての強みは、極端であれば、相手のお客様の弱みになる恐れがあります。いくら強み、独自技術を持っていても、お客様が、社会が必要としていなければまったく価値を持ちません。

強みを持っていると自覚しだすと、注意しなければならないのは耳が聞こえなくなってくることです。心地よい囁きだけを聞き、耳の痛い言葉は、聞こうとしなくなります。本当の強い企業は、強くなればなるほど、社会の声を聞き、お客様の囁きに耳をそばだて、社員の意見を取り入れたりするものです。

どんな企業も、生まれたときは、必死で働き、いろいろな人のアドバイスを素直に聞き、違うのではと感じればすぐに変えてやってみたはずです。今、東北地方にあった創業何十年の会社も、太平洋沿岸にあったというだけで、再度創業時に立ち返らざる得なくなりました。私達も長いデフレ経済になれてしまい、サブプライムローンの破綻、リーマンショック、そして東北大震災と痛みに慣れすぎてきているのかもしれません。まさに「ゆでがえる」状態ではないかと感じます。「初心忘するべからず」と言う言葉どおり、もう一度原点に立ち返って、(その原点がその経営者にとっていつなのかは違うでしょうが)じっくり考え直す必要があるでしょう。

弱みを持っていることを自覚することも、進歩するための必要条件です。

<鉄鋼の動き>

 国内の大手製造メーカーが東北大震災の影響を受け、大幅減産を余儀なくされている中で、その分、海外の生産に頼らざる得なくなり、高炉各社はいち早く復活の兆しを見せ、好調な輸出に対応するためフル操業を開始した。そして、震災で止まっていた値上げ交渉を自動車各社とおこない、4月にさかのぼっての値上げの了承を取り付けた。

一方で国内鉄鋼流通業界は、復興需要も思い通りに進まず、相変わらずの低調な荷動きである。市中相場も春に一段階上がった現状のままで夏までは進むだろうが、予定されていたもう一段の値上がりがいつから起こるか、国内需給のバランスがいつ壊れるか予断を許さない状況が続いている。

<今月の一冊>「新人OL,つぶれかけの会社をまかされる」

佐藤 義典著 青春出版

「強み、差別化」というと、無数にあるように感じるかもしれませんが、大別すると3つしかありません。

手軽軸・・・競合より早い、安い、便利で差別化

商品軸・・・競合より高品質、新技術で差別化

密着軸・・・競合より顧客の個別ニーズに対応した密着感で差別化

どの差別化もお客様ニーズに応えますが、応えるニーズが違うということです。

3つの差別化軸は通常1つに絞ります。2つの軸を同時に満たすことができるのは非常に限られた場合であり、通常は困難です。なぜなら差別化軸の決定は、人事、投資などを含めた会社全体に関わるものであり、それぞれ重視することが全く違うからです。」

<最近のわが社の動き>

1、贈答品で金箔をはったお盆に、布団太鼓をレーザー彫刻し、感謝の言葉を添えて、桐箱に入れて納入させて頂きました。

2、天然木を利用したボールペンに名入れ彫刻をしました。

京都芸大の先生からのご依頼で、東日本大震災のチャリテイーオークション出品用の作品づくりを、お手伝いさせて頂きました。

4、某博物館展示品の超精密ペーパークラフトづくりに取り組んでいます。

(一度お越しの上、ご覧下さい)


2011年9月


<平成維新か?>

 歴史的な大きな転換点である明治維新は、明治元年だけをいうのではない。狭義では1867年大政奉還からを始まりとするが、広義では1853年(嘉永6年)黒船来航からとする説が有力で,終了は一般的には1889年(明治22年)大日本帝国憲法制定の年までとされる。このように、明治維新といっても大変化するためには20年以上の年月をかけて、後世の歴史観からしてあの期間の以前と以降では大きく変わったと気づくのである。それまで、国内に矛盾が鬱積し、黒船来航という外圧によって開国、近代化へと大きく舵を切っていった。

今、我々は戦後は終わったと早くから言われ、高度成長期が終焉し、失われた20年といわれる低成長期の真っただ中にいる。自民党一党政治体制から、二大政党時代の幕開けが垣間見える昨今、2008年のリーマンショック、今年311日の東日本大震災と大きな外圧にさらされ、今まさに歴史的大転換期にいるのかもしれません。それまで右肩上がりだった人口も2005年をピークにして減少が始まり、高齢者比率が上昇する一方という今まで経験したことのない環境に突入している。数十年後に振り返れば、日本にとって平成初期の20数年間は大きな歴史の転換期であったと言われるかもしれない。私達は今まさにその渦中にあるから、ゆでガエル的に気づかないのかもしれません。IT化の波が世界を呑み込み、モバイル化がさらにその変化の先をゆき、そんな時にTPP批准の波に乗り遅れて鎖国を繰り返していてはいられないでしょう。明治維新の前夜には禁を破って藩を超え、理想を掲げ、人は情熱を持って活動した。各自が正しいと思う道を進み、その結果、歴史に流された人物もいれば、名を残した人物もいる。どちらにしても信念と情熱を持って行動しなければどちらにもならなかったことだけは事実である。

歴史に名を残すという大それた考えは持てないにしろ、企業を残すという信念だけは持ち続けたいものです。そのためには理想を掲げ、情熱を持って行動するのみです。残すのは社名ではありません、働く場を残し、発展させることです。

 自分の力ではどうすることも出来ない時代の流れ、外圧、自然災害。そんな厳しい状況に直面すれば人間の本能として避けたいものである。それが避けられない時、それと向かい合わなければならなくなった時、人はどうすればよいか今まで以上に深く考える。深く考えれば考えるほど、人は強くなり、人と人との絆の大切さを知るのだと思います。


<鉄鋼業界の動向>

 高炉各社は大手ユーザーである自動車メーカーとの値上げ交渉は成立したが、当てにしていた秋需や、復興需要が一向に伸びず、流通各社は市中価格が依然低迷して値上げどころではなく、現状価格を維持するので精一杯である。

<今月の一冊>「これからの正義の話をしよう」マイケル・サンデル著

1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその5人を殺すべきか?金持ちに高い税金を課し、貧しい人々に再配分するのは公平なことだろうか?前の世代が犯した過ちについて、私達に償いの義務はあるのか?つまるところこれらは、『正義』をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きる上で私たちが直面する正解のない、にもかかわらず決断を迫られる問題である。哲学は机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった現代世界を覆う無数の困難の奥には、常にこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よりよい社会を作り、そこで生きることはできない。」

<最近の動き>

弊社が関わっている八百屋マンマーケットで、復興支援キュウリを販売しました。

「建物も設備もすべてなくなりました。でも会社だけは残します。 こんな会社ですが入社してくれますか?」「はい!」内定されていた若い二人の女性が元気にそう返事した41日仮事務所での入社式。こんな映像をご覧になった方もいるでしょう。(410日「バンキシャ」にて放映)

味噌や醤油を作り続けて200年以上の歴史を持つ岩手県陸前高田市にある「八木澤商店」

そのお店が311日の大津波で設備も建屋もすべて失くしてしまいました。

以前、新商品としてお漬物の製造を始めましたが、その時使用したキュウリは1980年頃から流通し始めたかぼちゃの苗に接ぎ木したキュウリでした。白い粉をふかず、病気にもかかりにくく、皮も少し厚めなので傷がつきにくいといいことづくめで、最近はほとんどこのタイプのキュウリです。しかし、皮が厚いため、塩がしみこみにくく、漬物にするには難がありました。

そこで昔ながらの接ぎ木していないキュウリを農家さんにお願いして作って頂きました。

これが「自根キュウリ」です。最近では、陸前高田のこの辺りは「自根キュウリの里」と呼ばれています。今、その漬物工場も喪失しました。でも契約農家さんは助かりました。自然は何事もなかったかのようにキュウリを作り続けています。今回、そのキュウリを私達は応援キュウリとして販売しました。


2011年11月


<付加価値とは>

 世界で今起こっていることは、ギリシャの財政破綻の影響によるユーロ圏パニック。

アメリカも国家財政破綻寸前でのデフォルト回避でのドタバタ。そしてタイの大洪水による世界的サプライチェーンの停滞。一方日本国内では、政権の不安定による3.11大震災後の復旧・復興の遅れ、福島原発の先の見えない終息、それがあいまった風評被害による東北地方の農林水産業の停滞。そしてここへきての急激な円高とあげれば暗いニュースばかりになってしまいます。新聞等マスメディアは暗いニュースの方が読まれやすいと思っているのではと疑いたくなります。

 こういった時代でも生き残りをかけて闘い続けなければなりません。まじめに働くことはもちろん大事ですが、それだけで「米の飯とおてんとさんはついてくる」時代は終わりました。又、政治のトップがコロコロ変わる日本では、お上に頼ってはいられません。

企業を存続させるためには付加価値を高めなければならないとよく言われます。ところでその「付加価値」とはどんな価値でしょうか。本来の意味は、原材料に加工を及ぼし、元の価格より高い価格のものを生み出し、その差を生みだす価値が付加されたことを言うのですが、それだけであれば声高に訴える必要はないのです。それは当り前のことで、それ以外の価値を生み出さなければならないということです。それはさらに高次元の物質的価値、すなわち高精度、超精密、高品質というものもありますが、目に見えない価値もあります。それは時間であったり、満足、幸せいった精神的なものであったりします。徹底した短納期対応などは時間という価値を付加していますし、趣味や娯楽・遊びといったものには後者の価値の欲求が強いのでしょう。

自社を取り巻くお客様の欲求する価値は何か、その価値に対応できるのか、又、自社が作り上げてきた価値を、今提供している市場以外に提供できないか、価値の要求も一段と多様化してきています。「価値」という概念をもう一度色々な角度から見直し、従来の仕事そのものや、やり方にとらわれず、柔軟で大胆な発想の転換が求められています。口で言うのは簡単ですが、実行するのは並大抵ではありませんが、じっくり考え、一歩でも、半歩でも足を踏み出していかなければならないと思います。暇で困ると嘆くのなら、考える時間、大胆かつ臆病に少し実行する時間はあるはずです。出来ることから少しずつでも始めようと思います。

<鉄鋼業界の動向>

 四半期ごとに決める石炭の国際価格が下落し始めた。最大の輸入国になった中国の買い控えが原因である。それは中国国内事情によるものであろうが、資源爆食であるがゆえにその影響力は大きいものがある。国内市場は相変わらず低調で、流通在庫は多少減ったものの、需要の弱さには追い付いていない感がある。そのため市況価格はじわじわ下がり始めている。


<今月の一冊>「文化的価値の時代」東京外国語大学教授 山口昌男氏

20世紀の社会は「経済が発達すれば人間は幸せになれる。物質的な豊かさが幸せをもたらす」という物語が支配した社会だったといえる。ところがそれはとんでもない間違いだったことに人々は気づき始めた。実際、物質的豊かさを追求した便利で機能的な商品は巷にあふれているが、そうした製品を作る企業は低価格競争の中でもがき苦しんでいるように見える。現代の消費者は、単に安くて品質がいいというだけでは価値として低い評価しか与えず、そうした商品は極力安く買おうとする一方で、心に響く魅力ある財、サービスにはお金を惜しまない傾向があるようだ。

日本のものづくり能力が高品質のものを安く作る技術だけを重視する傾向があるが、21世紀では本当に必要なのは、モノに魅力を与える想像力を持った人材の育成である。それは技術の問題よりも文化の問題である。技術が生み出す価値が中核であった20世紀に対して、21世紀は文化の生み出す価値が中核になる時代である。従来の経済至上主義が見落としてきた文化、さらに根本的な人間的な原理のようなものの見直しが求められている。

<最近の動き>

11026日、27日と商工会議所主催の大阪勧業展に出展しました。

多数のお客様にお越し頂き、新たなご縁を頂きました。

りがとうございました。

2.某博物館に提案するジオラマ作りが最終段階に入ってきました。

ブラジルにいる古建築模型作家の人と連絡を取りながら進めています。

ITの進歩のおかげですね。