2014年


2014年11月
<宇崎弘文氏を偲ぶ>

 内閣府が発表した79月のGDP速報値は、事前の予測では年率換算でプラス2%位と考えられていましたが、発表数値はマイナス1.6%でした。これは前期比(46月)ですので、前期が消費税駆け込み需要反動減マイナス1.9%であった事を考えると、大きなマイナスと言えるでしょう。数値は比較する対象、基準となる数値によって大きくぶれたりするので、その点を考慮して考えなければいけないのです。円安誘導したから、輸出企業の業績が伸び、国内設備投資が増え、社員の給料も上がり、消費が増えるという政府のシナリオは崩れ去りました。確かに大手輸出関連企業の業績は過去最高を記録しましたが、生まれた資金は国内ではなく、海外の設備投資に回され、給与アップの恩恵も円安や天候不順による原材料高、消費財の値上がりで実質賃金がマイナスになって消費が冷え込みました。戦後スキームからの脱却と声高に言っていても、輸出が国内景気を牽引するという考えから脱却できていないようです。

918日、一人の経済学者が亡くなりました。その人の名は宇沢弘文。大学では数学を学んだのですが、戦後の荒廃した日本を見て、又、河上肇の「貧乏物語」に触発され、経済学に転向したといわれる経歴の持ち主です。若くしてアメリカの大学に招聘されて教鞭をとっていましたが、ベトナム戦争で軍需産業が殺戮率を数値化して、効率を追求する姿に嫌気をさし、日本に帰国しました。その後、自動車のコストには、製造原価だけでなく、その後に発生する自動車専用道路の建設費や、排気ガスによる健康被害費用等、自動車を購入しない一般国民まで負担されているその費用も加味すべきという理論を展開し注目されました。

効率化のみを追求し、経済活動は市場原理にゆだねると最適化するというアメリカの新自由主義経済に反発し、空気や水、インフラ、環境、教育、福祉等は市場原理に委ねてはいけないと唱え、ノーベル経済学賞に最も近い人物と言われて続けてきた人なのです。

企業経営も、会社の為、お客様の為にがむしゃらに働いた利益至上主義の時代から、東日本大震災を一つの契機にして、何のために働くのか、会社の存在理由は、といった哲学的命題を問われる時代に入り、地域と共に、お客様と共に、そして社員と共にその取り巻く社会をよくする企業活動の時代に入ってきたように思います。利益を生み出すことは会社を存続させる手段であり、決して目的ではないのです。無駄を省き、一生懸命働き、お客様から適正な販売価格で頂く利益は、経営者を含めて社員の幸福実現のためには必要不可欠なものです。人間、一生懸命働く姿は美しいのです。

<今月の一冊>「なぜ、わかっていても実行できないのか」

ジェフリー・F・I・サットン著

「言葉を言葉で終わらせず、行動に変えている組織では、言葉もフォローアップも、計画や決定も、あくまで行動中心である。行動を変えれば信念も変わる。」

「サターンやAES,トヨタ、ホンダ等は特定の技術や方法からではなく、まず基本的な考え方、企業哲学や経営方針から始めている。AESでは4つの価値観―楽しい事、公平、誠意、社会的な責任―が行動指針になっている。ここでは人間について次のように考えていて、経営にも活かす努力をしている。@人は創造的で考える個人であり、学習能力がある。A人には責任能力があり、信頼できる。B人は過ちを犯すものである。C人は社会に貢献したいし、挑戦を好む。D人は数字や機械ではなく、ユニークな個性を持つ個人として尊敬されるべきものである。」

「(徒弟制度)とか(親方の指導)といったものは、先輩の仕事を観察し、先輩と一緒に仕事をすることで知識が身につくという意味である。問題にぶつかって、初めて『何となくわかる』という段階から『知識が身につく』段階になる。人に教えて初めてそのギャップが埋まる。アイデアが浮かんだらすぐに試作モデルを作る。近くに行って実物を見ることによって次の行動が出来る」

<最近の動き>

11022,23日に出展した大阪中小企業勧業展には多数お越し頂きありがとうございました。毎回新たな出会いが生まれています。

 今月111921日の三日間、東京ビッグサイト「中小企業新価値創造展」に出展します。初めての東京進出。弊社社長も前日から社員みんなの期待をしょって張り切って出張しています。今までにない出会いに期待に胸キュンです。

212月港区湾岸通りの赤レンガ倉庫内にオープンするステーキハウスに、デザイン性の高い特殊ステンレス製焼き釜をお客さん数社の協力のもと製作、納品させて頂きました。

3、年内は、1227日(土)午前中最終営業日、27日(土)午後大掃除とさせていただきます。年明けは16日(火)から通常通り営業開始いたします。

41228日(日)午前9時〜12時 

弊社前にて「八百屋マン・マーケット」を開催します。近郊農家さん直仕入れの野菜、果物の年内最後の地域販売ですので、是非お越しください。



2014年9月


<あなたの会社の強みは?>

消費税増税前の駆け込み需要は、以前の5%UPの時よりは感じられず、その割に4-6月の落ち込みが大きいようです。大手は予想以上に少なかったとか、想定内と言っているようですが、中小企業にとっては想定外の需要不足と、想定内の反動減でありました。7-9月の景気動向を見て、12月に来年度の消費税10%上げをどうするか判断すると言っている安倍内閣。大型補正予算を組み、何が何でも7-9月の景気浮揚を図り、消費税を上げる方向に持っていこうとしています。5%が8%になるより、8%が10%になる方が差が少ないように感じますが、100円の物が税込みで1割上がるとなると、消費者にとっては大きな値上げに感じられます。そうなると、10%前の駆け込み需要は、その前の8%に上がる時に先食いしているので期待できず、反動減だけが大きく来るのではないかと懸念されます。

 そうした中でも自社の強みを明確にし、その強みを生かす戦略を練り、さらにその強みを磨いて行けば激しい競争も勝ち残れると、一部の経営本には書かれているのを目にします。

あなたは「自社の強みは何ですか?」と聞かれたらどう答えますか。

「納期対応力です」「品質ではどこにも負けません」「価格は同業他社より絶対安いです」

「どこにも出来ない技術を持っています」等々。

私はどれも言えません。大阪市内だけでも同業他社が数百社ある中で、上記のどれも1番だと言える自信はありません。

それなら、お客様はなぜ当社から買って頂いているのでしょうか。こちら側から見るとライバルは数百社ですが、お客様が購入される同業他社は多分数社しかありません。その中で、選んで頂いているのは、お客様A社にとって自社は納期対応力で買って頂いているのかもしれません。又、別のB社様は、他社と比べてクレームが少ない安心な会社として、お付き合い頂いているのかもしれません。そう考えると、A社様から急な納期の注文が入った時は、何が何でも対応しなければ、そのお客様A社にとって自社から購入して頂く理由がなくなってしまうのです。

どこにもない特殊な技術を持つ事は絶対的な強みになるでしょう。そのように日々技術力を磨く事は勿論重要なことです。しかし、本当の強みはお客様が自社を選んで頂いている理由にあるのです。普遍的なもの、絶対的な技術を1つ持つより、個別的な対応力を磨いて行く方が中小企業には手っ取り早いような気がします。


<鉄鋼業界の動向>

ステンレス鋼がニッケル等の国際価格の高騰で値上がりしてきた。需要自身はそれほど盛り上がっていないのだが。

薄鋼板の大手流通業者は少し活況を呈している状況であり、品薄感が漂い始めている。

自動車業界が、原材料の鉄鉱石の国際価格下落に伴い鋼材の値下げを要求し、高炉メーカーが飲んだようだが、我々一般流通までその余波が来るのはもう少し先になりそうである。

<今月の一冊>「人間回復の経済学

神野 直彦著

「不思議な事にエポックは世紀転換期ごとにやってきた。18世紀から19世紀にかけてのエポックでは、第1次産業革命が展開され、農業社会から工業社会へと産業構造が転換した。農業とは、生きている自然を原料とする産業である。第1次産業革命は死んだ自然を原料とする工業で、生産をする決定要因は自然に働きかける手段、つまり機械設備となったのである。この産業革命は軽工業が基軸で、衣料や食料といった人間が身にまとうものや、口にするものしか製造する事が出来なかった。つまり、人間の体に付着する物しか生産する事が出来なかったのである。

次の19世紀から20世紀にかけての第2次産業革命では、重化学工業を基軸とする産業構造が形成された。自動車や家電などといった人間の身体とは独立しているけれども、人間の手足などをつかさどる器官を、独立した構造物として製造し、ライフスタイルに取り込んでいった。

現在の20世紀から21世紀へのエポックでは、人間の運動系統ではなく、神経系統の器官の機能に代わる独立した構造物が登場する事になる。スウェーデンで掲げられている言葉で表現すれば、人間の歴史が「工業社会

から「知識社会」を目指して大きく動き始めたのである」

<最近の動き>

1、来年開創1200年を迎える高野山金剛峯寺の木の案内板を焼印風に作成しました。  又、京都の老舗のお茶屋さんがパリに出店されるに当たり、店名看板を焼印風に作成させても頂きました。

2、今年も102223日の二日間、大阪中小企業勧業展に出展します。  その後、111921日の三日間、東京ビッグサイト「中小企業新価値創造展」に出展します。まず、東京の展示会に出るということを決めて、今からあーでもない、こーでもないと議論していきます。


2014年7月

<生き残る企業>

 大阪の河内長野の地場産業が爪楊枝製造である事をご存知でしょうか。あるというよりあったという方が正しいのかもしれない。現在爪楊枝を製造しているのは河内長野市でも1社しかない。いや、日本でもその会社がただ1社残っているのみである。その会社の名は「株式会社広栄社」。創業大正6年、現在4代目の方が継いでいる。最盛期にはこの地域で作っている爪楊枝のシェアーは国内の96%、世界でも50%以上であった。しかし、安い中国製品に押されて、現在では広栄社1社になってしまった。その前社長稲葉修氏とその会社を訪問してお話させていただいたことがある。爪楊枝はなぜ丸いのか、それは作りやすいからだそうである。使い捨て故、安く安くを追求して形は丸く、生産は中国でとなっていった。しかし、丸いのは本来「カクテルピィック」といって、果物等を刺すためのもので、歯に用いるのは歯のすき間に合わせた三角形をしているのが正しいのであり、ヨーロッパでは当たり前のことが、日本では激烈な価格競争のため丸になってしまったようである。広栄社では、その三角楊枝を生産し、北欧に輸出までしている。その社屋は今も木造板張りの会社で、利益を生まない建物等へは極力コストをかけないようにされている。11円もしない製品で何銭・何厘の競争を経験してきたからこそ無駄を省く意識が高いように感じた。その三角楊枝も丸に比べて製造コストが高くつくため、以前は三角柱の形をしていたが、歯に当たる部分だけ三角形で持つところは丸といった形に進化させ、製造コストを下げている。これ以上のコスト削減は無理と考えるのではなく、もっとコスト・経費削減はできないかと常に考えておられる結果であろう。

 利益は会社を維持するための必要条件である。利益を出すにはいうまでもなく、売上を上げるか、仕入れ価格を下げるか、粗利率を上げるか、そして経費を下げるかこの4つしかない。安倍政権になって、景気は回復してきたといわれる中で、それを実感できない我々中小企業では、上記の売上を伸ばすのもままならず、デフレ脱却も目指すアベノミクス効果で、仕入れ価格・経費も上昇してきては利益を出すことすら難しくなってきている。即、利益に結びつくのは固定経費削減であり、雇用を守るためにも1円でも10円でも削減に取り組まなければならない。「たったそれくらい」と考えては絶対できない。たったそれくらいでも思いついたら即実行する。やり続けることで、固定費であるので毎月確実に減り、塵も積もればである。何より社内に無駄を省こうという習慣をつけることが大事なのである。先に書いた広栄社でも、無駄な経費は徹底して省いておられるが、地域貢献、社会貢献には積極的に関わっておられ、地元の小学校の社会科の教科書にも紹介されていて、社員が誇りを持って働いている会社になっているのである。

<鉄鋼業界の動向>

薄板全般の荷動きは相変わらず軟調で、流通在庫も膨らみだしてきた。一般鋼材は公共工事の増加や、東北復興需要の本格化で動きは活発であり、今後も東京オリンピックに向けての需要増もあり強気の発言がささやかれている。


<今月の一冊>「海賊とよばれた男」百田 尚樹著

「『ならん、一人の馘首もならん』国岡商店は明治44年の創業以来、ただの一度も馘首がない。これは創業以来の絶対的な不文律だった。『たしかに国岡商店の事業はすべてなくなった。残っているのは借金ばかりだ。しかし、我が社には何よりも素晴らしい財産が残っている。1千名にものにぼる店員達だ。彼らこそ最高の資材であり財産である。国岡商店の社是である『人間尊重』の精神が今こそ発揮される時ではないか』鐡造の「人間尊重」は彼の強い信念であり、金科玉条であった。それゆえ、国岡商店には就業規則もなければ出勤簿もない。馘首もなければ定年もない。同業者から異常だと言われても、それが社風であり誇りであった」

「約束の海」 山崎 豊子著

「戦争は絶対反対ですが、だからと言って、守るだけの力も持っていなければならない、という考えには同調できません。いろいろ勉強していく内に、『戦争をしないための軍隊』という存在を追求して見たくなりました。尖閣列島の話にせよ、すぐにこうだと一刀両断に出来る問題ではありません。そこを読者の皆様と一緒に考えて行きたいのです。戦争は私の中から消えることのないテーマです。戦争の時代に生きた私の“書かなければならない“という使命感が、私を突き動かすのです。」(あとがきより)


<最近の動き>

16月の展示会「信金マッチングフェア―」に多数来場して頂き、ありがとうございました。新しいご縁が又、生まれました。

26月にテレビ番組「鉄腕ダッシュ・ご当地PR課」のコーナーに弊社が協力し、社内撮影も行われました。

 そして76日放映。3日も4日も引っ張り出されたのに、映ったのはチョッピリ。

そんなもんだろうと思っていましたが・・・しかし、弊社会長と社長の親子がアップで映りました。


2014年5月

<継続は力なり>

 前号で紹介した理研の小保方春子さんによるSTAP細胞発見の話題は、今もその真偽をめぐって調査中です。「STAP細胞は存在します」と言い切る彼女、存在してほしいとは思いますが、経過が大事と言うことを大いに学ばされました。

 やはり同じその号の最後に書いた「継続は力なり」という言葉を今回はもう少し考えてみたいと思います。経営者にとって会社を維持継続させていくことが最大の使命であることは自明の理です。その為に、色々な経営指南書を読んだり、講演を聴いたりして勉強します。しかしいくらHOW TOを学んでも、実践しなければ絵に描いた餅であり、企業経営の役に立つことはありません。そして、一度やり出したら、成果が出るまでやり続けるという実践継続力が必要です。単に同じことをやり続けているだけでは力にはなりません。力になるということは、そのことが身につき、自分の中で変化が起こり、別の事象に遭遇した時に、その変化のおかげで応用が利くものとなっていることが「力がついた」ということになるのだと思います。この「トンボの片思い」も、その前の「インフョメーションリンク」発行から数えて足掛け20年になります。以前紹介した「八百屋マン・マーケット」の取り組みは6年目に突入しています。そのどちらもやり始めた時には何のためにやるのか、誰のためにやるのかという目的が明確にありました。何年続けよう、どうなるまで続けようという目標はありません。その目的は今も変わっていませんが、内容、やり方は変化してきています。いや、変化させてきました。もっと目的に沿うやり方はないのか、お客様にとってもっと満足していただける方法はないのかと常に考えてやってきたつもりです。単にやり続けるだけならきっと、苦痛を感じて途中でやめているかもしれません。実は私は昔から三日坊主です。長居公園の近くに住んだときは、早速ジョギングシューズを買ってきて毎朝健康のためにジョギングしようと決めて翌朝から始めました。4日目雨でした。その翌日からそのシューズは通勤用に変わりました。現に「インフョメーションリンク」も12年目ぐらいのとき、一度中断したことがあります。書くことがない、2ヶ月に一度はしんどいなと思いました。しかし、その時背中を押してくれたのはお客様でした。書くときはパソコンに向かって書いているのですが、その向こうにいる本来の対象であるお客様が見えていなかったのです。時間を割いてやるからには、目的をしっかり持ってやる。そして、やり方を常にこれでいいのか、もっとほかの方法はないのかと、体を動かす以上に脳ミソをフル回転させて考えてやる。こうした行動の積み重ねがやがて「力」になって帰ってくるのです。先ほどのジョギングと「トンボの片思い」の継続の決定的な違いは、誰のためかということもあるのかもしれませんね。

<鉄鋼業界の動向>

 41日からの消費税率UPに向けて、それまでに材料の値上げが一斉に起こってきた。我々シャーリング業界も特約店業界も値上げ前に少しでも多く材料を確保しておこうという動きもあって、在庫を積みし、その為に市場は品薄感も出て、余計に値上げに拍車をかけた。駆け込み需要もあると見越していたが思った以上にそれもなく、それならその反動も少ないかと思いきや、4月に入ってからは荷動きが極端に弱くなってきた。その為にそれまで流通が積み増してきた在庫や、メーカーからの新消費税での入荷が増えることによって市場はダブつき感が出てきている。例年、関西の58月は荷動きが悪い時期であり、このままの状態でいくと、一度は値上げしたものの値崩れがおこる可能性も否めない状況である。

<今月の一冊>「日本人へ 危機からの脱出篇」塩野七生著

「政治家の役割は国民のニーズを汲み上げることではない。ニーズを解消することのほうにある。この問題はこうすると解決すると明言することにあるのだ。そして その線で進めた結果が解消に近づいているか、それとも見込みがないか、その判断は国民が選挙で示す。これこそ主権在民であり、民主政治といえるのだ。国家とは、そもそもの語源に帰れば、住民共同体のことである。故に国政担当者である政治家の役割は、その住民共同体の利益になることをするという一言に尽きる。それも全員が満足することを目指すと全員が満足しないことになりかねないので、しばしばあるところで決断を下す必要に迫られる。ただしこの場合、なぜこのような決断を下す必要があったのかを、冷徹に論理的に具体例を挙げて説明することが求められる。これを当事者の説明責任という。」

「指導者に求められる五つ資質。

1.知力 2.説得力 3.肉体上の耐久力 4.自己制御の能力 5.持続する意思

以上の五つの資質をすべて兼ね備えて持っていたのはローマ時代のユリウス・シーザーだけである」

<最近の動き>

1、愛知県の博物館明治村に新シリーズ「村並みシリーズ」として、4アイテムを納品しました。今回はよりお客様に近い所にいる明治村さんの販売担当の方の意見を重視して、商品化しました。

2、ダンボールでオリジナル自社商品を開発されている会社さんの製作に協力させていただきました。


2014年3月

<進化論>

 1月末、日本の若き研究者の発表が、世界中に驚きと感動を与えて駆け巡った。その研究者の名は理化学研究所の小保方晴子さん。早速今年の流行語大賞のうわさも出た「リケ女(理系女子)」の若きリーダーである。体細胞が弱酸性の刺激を与えるだけで万能細胞(STAP細胞)に変わりうる事を発表し、今後の再生医療に大きな道を開いた事になった。

ダーウィンの進化論は「環境変化に適応したものだけが生き残り、それが生物の進化となる」というものであるが、これは環境変化がまずありきが前提になっている。しかし、その説に異を唱える学者がいて、「生物は突然変異を起こすものであり、ある時、その変異した個体がたまたま起こった外部環境の変化に対応している時、その生物の進化が起こる」という突然変異がまずありきが前提になった理論である。生物が生き残っていくためには、今まで通りの生き方ができればその方が楽であるのに、突然変異が起こるのである。これは、この理論からすると、生物が生き残っていくがための必要な営みなのであろう。STAP細胞もある意味、人為的ではあるが突然変異した細胞である。普通、外部刺激が加わると、ほとんどの細胞は悪い方に変化する(ガン細胞のように)が、植物や、動物でもまれにトカゲのしっぽのように外部刺激で良い方向へ変化する事は知られていたが、通常の細胞学では、あり得ない事であった。しかし、今回の発表でその常識が覆されたのである。

企業は今、同じ状況で経営できるのはせいぜい10年と言われている。経営環境は今まで経験したことのないスピードで変化している。先読みして、経営環境の変化に対応できなければ生き残れないと言われるが、10年先を読んで、今から準備できればそれに越したことはないが、10年先を読める経営者がはたして何人いるだろうか。1年先、いや、2、3ヵ月先の事すら当てる事が難しい時代であるのに。だから企業が生き残る為の前提条件を変えるのである。「環境変化を先読みする」から「突然変異をしかける」に、すなわち「考える事」から「まず動く」ことへの変更である。多少考えることは必要だが、「無駄な動きはエネルギーの無駄遣い」という人がいるかもしれないが、「下手な考え休むに似たり」でもある。行動する前に考えすぎると、人間はどうしても変化を嫌う動物であるので、できない理由ばかりを考えてしまい行動に移せない。具体的な計画はある意味、外部刺激である。今までやったことのない事、行ったことのない先への訪問は特に強い刺激になりうる。それをまず決めて、それからそれに向かって何をすればいいのか決めればいいのである。それを繰り返すことで、技術力が上がり、企業が変化していくのではないかと考える。そういった行動も継続できるものであるかという点も考慮しなければ本当の変異する力になってこない。やはり言い古された言葉であるが「継続は力なり」である。

<鉄鋼業界の動向>

 東日本大震災の基礎的復旧工事は終盤を迎え、昨年後半から復興にむけて動き出している。青写真ができ、土台ができ、上物が建ちだした。その為、多くの職方が東北地方に移動し、トコロテン式に関東方面の建築関連の職人不足、全国レベルでの不足が起こってきているようである。建築関連が動き出すと、それは最大の内需型産業なので、消費税駆け込み需要もあって、景気動向に良い指標が現れてくる。そういった影響もあって品薄感が強まり、鉄鋼市中価格も上昇し出した。最終ユーザーへの値上げ交渉にはまだバラツキがあるものの、3月末まではこの強気ムードは続くだろう。しかし、4月以降消費の反動減が大きく出てくると、どうなるか不透明な部分も含んでいる。


<今月の一冊>「2052 今後40年のグローバル予測ヨルゲン・ランダース著

「例えば新聞で、GDPや雇用率の上昇や、貿易の拡大といった記事を読むと満足を覚え、その一方で、人口が減っている事や、新車の登録台数が前年を下回った事を知ると不安になる。成長というパラダイムを宣伝する人々の、「成長こそ命」というスローガンは、そのような感情をうまく捉えるのだ。だが、このような直観的な感情があなたを不幸にするのではないかと、私は心配している。これからの40年、幸せであり続けたいなら、成長に対する考え方を改め、修正する事をお勧めする。」

「高い成長性が必ずしも高い収益性を保証する物ではない。2010年〜11年にかけて起きた太陽光発電パネル価格の暴落によってそれは実証された。中国の技術開発と、生産能力拡大によって、パネルの市場価格が暴落し、多数の企業に巨額の損失をもたらした。しかし、価格が安くなったことで、太陽光発電は急速に普及し、それがエネルギー競争の勝者になるという予想は裏付けられ、同時に最初に投資した人が勝者になるわけではない事も証明した」


<最近の動き>

1、お得意様のご紹介で、四国の建築関連の事業所(3軒)様から、金属材料のご注文を受けました。

2、八百屋マン・マーケットの開催が2週連続雪の為中止になりました。スタートして5年になりますが、連続で中止は初めての経験です。

3、鉄道模型の内装パーツを製作させて頂きました。

4、木製デザイン時計の文字盤をレーザーで焼印風に彫刻しました。


2014年1月

明けましておめでとうございます。

<一年の計は元旦にあり>

今年は例年になく穏やかな天気に恵まれたお正月からの幕開けでしたね。

昨年はアベノミクス効果で、株価は1年で50%以上上昇し、円は20%以上安くなりました。通常ならば貿易収支は黒字になるはずなのですが、ほぼ通年に渡って赤字のままに推移し、特に後半では、エネルギー価格や食料品等が高騰し、政府曰く物価指数が上昇しデフレ脱却のシナリオができたと言うことですが、一般消費者にとっては生活しにくくなっただけではないでしょうか。

「一年の計は元旦にあり」どんな一年になるのでしょう、いえ、どんな一年にしたいのでしょうか。今年は「甲午(きのえうま)」、「甲」は十干の一番目であり殻を破って出ようとする情熱を表わし、十二支の「午」も動的意味を持っていて、そこから「甲午」は激動の年になるといわれています。四月には消費税が上がり、経費や仕入れ価格も上がれば、売値も上げざるを得なくなり、そうなると昨年と同じだけの量を生産・販売しても、売上は必然的に上昇します。しかしその反面、注意しなければならないのは粗利率が低下し、売上が上がっても粗利の額、その絶対量が低下する危険性が高まることです。

 その危険性を回避する方法は、時代のせいにせず、自ら率先してまず動き、そして考え、又動く、この繰り返しをどれだけ多くできるかにかかっています。それは、激動であろうが平穏であろうが時代を超えて、中小企業の経営者には求められる資質です。「そんな資質、持ってないよ」と考える人もいるかもしれません。持ってなければ造る努力をすればよいだけです。何でもいい、小さくていい、継続してまず一つの事をやってみる、何をやるかまず決める、それが「一年の計は元旦にあり」であると思います。

動けば壁にもぶつかり、動かなければ壁があることすらわからない。壁は時代であり、自ら今まで持っていた器である。動けば岐路に迷い、動かなければ道は見えない。岐路が多いのは、情報量の多さ故であり、深く考えている所以である。人生、壁にぶつかり、岐路に惑う、それが人間力を育ててゆくのである。私自身、岐路に立ち、迷った時、少し立ち止まり「この道を選ぶのが正しいか正しくないか」と考えるのではなく、「この道を行くのは正義なりや」と考えるようにしている。広辞苑によると「正義」とは「社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること」であり、又、「義」とは「利害を捨てて、条理に従い、人道・公共のために尽くすこと」と書かれている。「正しい」よりもう一歩踏み込んでいるのが「正義」と自分なりに定義して考えている。企業として激動の一年になろうと「正義なりや」を常に胸に刻んで、今年も進むと年頭に誓う。

<鉄鋼業界の動向>

昨年後半から、一般鋼材は毎月のごとく値上げを繰り返し、高炉商品もメーカーは値上げをしてきたものの、一般流通は市場の動きの鈍さから慎重な動きをしていた。しかし、年末年始にかけて値上げの動きが活発になってきた。これは、それまでの復興需要を含む需要は土木を中心とした一般鋼材が主であったが、消費税の値上げもあって、鉄鋼製品全体に需要増加の兆しを感じている所以であろうか。今年前半、特に4月の消費税上げまでに値戻し的値上げの動きが顕著になってくるであろう。

<今月の一冊>「銀二貫」高田 郁著(幻冬舎)

(大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本 第1回受賞作)

「卑怯云々は関係あらへん。喧嘩は無駄に腹が減るさかい、やめとくこっちゃ。人にはそれぞれ決着のつけ方というものがある。刀で決着をつけるのはお侍。算盤で決着つけるのが商人。知恵と才覚とを絞って商いの上で決着をつけるのが商人なんや。お前さんがしようとしたんは刀を振り回すのに似ている。商人にとって一番恥ずかしいのは、決着のつけ方を間違うことやで。」

「なあ、松吉。一里の道は一歩では行かれへん。けんど、一歩一歩たゆまんと歩き続けたら必ず一里先に辿り着ける。お前はんはもう歩き出したんや。転んだなら立ち上がったらええ。簡単にあきらめたらあかん。」


<最近の動き>

11127,28日に開催された大阪産業振興機構主催の「ビジネスフェスタ2013」にも、多数の皆様においでいただきました。新たな挑戦として10月の勧業展と共に、切り絵作家さんとのコラボレーションに取り組み、例年になく盛況の内に展示会は幕を閉じましたが、この取り組みを今後どのように展開していくかが今年の新たな課題です。

2、「御堂筋光のイルミネーション」(1月19日まで)に、大阪府が一般の人から公募したメッセージボードを製作して納品させて頂きました。

3、数軒のお客様から、ステンレス・銅等の素材を使った機械部品にシリアルナンバーをマーキングさせて頂きました。